超伝導ナイトクラブ

 

今夜、集まっている常連は、中古コンピューターのブローカーと光ファイバー敷設者、ニューセラミック義歯の技工士、腎臓ウィルスによる遺伝病治療専門病院経営者、それにCTつまりコンピューター・トモグラフィつまりコンピューターによる断層撮影 技術者の五人だった。彼らはみな金持ちである。店にキープしている酒はバレンタインの三十年ものやカミュ・バカラやロイヤル・サルートやサントリー・ザ・ウイスキーといったものばかりだ。モエ・シャンドンのドン・ペリを二ダースキープしているICカード会社社長もいるし、中でも比較的金のない中古コンピューターブローカー、彼は略して中コンと呼ばれるが、彼でさえマーテルのコルドンブルーを飲んでいる。それに彼らはみな酒の飲み方を知らない。四畳半の貧乏学生がサントリーレッドをガブ飲みするようにカミュ・バカラを飲むのだがそれはしようがないことなのである。

 

 

受験が始まって現在の新技術開発に至るまで彼らには勉強することが多すぎたのだ。主にアメリカだが海外に長くいた者もいる。だが彼らにしても事情は変わらない。

 

気鋭の遺伝子工学者にしてモーツァルトをチェロで弾き一年の半分はハンティングと釣りをして過ごし別名で詩集を二冊出版している、などといったタイプの男はこの店には来ない。

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